グレネード
Grenade - グレネード
人が投げて相手を攻撃するための爆弾を「擲弾」(てきだん)という。特に現代の戦場において歩兵が装備しているものを指して「手榴弾( Hand Grenade )」という。ほとんどの手榴弾では、安全ピンつきハンドルによってバネ掛け式の撃針が信管を打たない構造になっている。ピンを抜くと自然にハンドルが外れて撃針が信管を打ち、4-5秒後に爆発する仕組みになっている。*1 19世紀以前の戦場では陣形を組んで整然と前進する敵小銃歩兵に対して、騎兵や擲弾兵が擲弾を投げ入れて混乱に貶めた。
20世紀に入り、小銃の威力が大きくなり、射程も伸びて、さらには機関銃が発明されると、騎兵が戦場における優位性がほぼ消滅し、強固な塹壕陣地、特に機関銃陣地に対抗するための応急措置として、金属ケースに火薬と導火線を詰めた簡易擲弾(手榴弾)が使用されるようになり、後に正式歩兵装備として手榴弾が配備されるようになった。破片手榴弾は爆発時に飛散する弾体の破片をその攻撃力とする。破片一つ一つの致死性は小さいが、爆発によって四散するために、ある程度広い範囲内にいる標的に重軽傷を負わせることができるので、相手側の攻撃力を削ぐことができる。
衝撃手榴弾は威力範囲で前者に劣るものの、破片による無用の被害を抑えることが出来る。また、現代では標的を一時的に戦闘力を奪う、非殺傷兵器としての手榴弾(「 Stun Grenade 」)が存在する。
大音響と閃光(「 Flashbang Grenade 」)、或は催涙ガスなどによって感覚をマヒさせて戦闘力を奪うもの、ゴム玉を詰めて飛散させるものなどがある。
野戦で使われることは稀で、市街地戦や都市犯罪に対処する際に多く用いられる。また、野戦に於ける防御や信号送信では、煙幕手榴弾(「 Smoke Grenade 」)が使用される。
あまり一般的ではないが、手榴弾には「攻撃用」と「防御用」という区別の仕方が存在する。
前者は、ある程度狭い戦闘空間(防壁や閉鎖空間の内側)へこちらから攻勢をかける場合に、後者は迫り来る脅威を排除する場合に、という住み分けである。
前者には衝撃手榴弾が、後者には破片手榴弾が充てられることが多い。
*1 この手榴弾の構造は、第一次大戦で確立した。